「感動させたい」なんていうなよな

28年目のハーフタイム (文春文庫)
今回のW杯アジア最終予選について、私は恐ろしいほど一喜一憂していません。はっきり言ってしまえば、本選に出場できなかったとしてもそれほど残念に思わないのではないかと思います。きっと根っからのサッカーファンではないのでしょう。でも、98年のフランスW杯の最終予選のイラン戦の際は真夜中(でしたよね?)にも関わらず、思いっきり叫んだ記憶があります。
なぜか。その原因の一つには「日本はすでにW杯に出たことがある」という事実を知っているから、ということが挙げられます。今までできなかったことを克服できたり、未経験だったことを経験したとき、人は誰しも達成感や高揚感が訪れるものだと思うのですが、それが日常的なことになるとやがてそうした感情は忘れて去られていくものなのではないでしょうか。だから、今回本選に出場できたとして、さらに決勝トーナメントに進出できたとしても、それについて特別な感慨はないでしょう。だって日本は決勝トーナメントに進出したことがあるから。そう考えると、本書の中で、ユース時代に世界の檜舞台を経験していた中田英寿の冷めっぷりが理解できるような気がします。
かといって、日本がW杯で優勝したら私に高揚感が訪れるのかというと、それは考えにくいです。なんていうか、もうちょっと苦しんで欲しい。もし優勝してしまったら、本格的にサッカーに冷めてしまうかも・・・。本質的に私は保守的な人間ですね。