大黒堂

 羞恥心てえものは結局自分自身の中の問題な気がします。一度、自分が「恥ずかしいッ!」と思ってしまえば、それははっきりと形作るし、そう思わなければ恥ずかしいものとしては存在しないわけです。あとはそれが他の人との共通意識の程度問題なわけで。自分では普通だと思っていたことが、他人が眉をひそめることだったりします。ファッションとか。

 抽象的な上にワケわからない文章になっていますが、つまり「ぢ」です。
 最近手術して経過観察中なのですが、冒頭のことに思い至りました。風呂に入ったとき、お尻の異変に気づいたのは今から7年ぐらい前でした。なんか肛門近くが腫れてるんです。大きさとしては指先から第一関節2本分くらい。触った瞬間に「痔・・・?」と思ったのですが、肛門から微妙な距離にあったので、単なるおできだろうとタカをくくった・・・というかよしんば痔だとしても(結局は痔なわけでしたが)、恥ずかしくて病院にいけないって・・・と成人式を迎えたばかりの青年は考えたわけです。

 と、その後は大きくなるわけでもなく、かといって治る様子もなくそのまま放置していましたが、今日までその存在を念頭に置かざるを得ない出来事が起こりました。忘れもしません。2001年6月中旬。ヤツは突如熱を帯び、大きく腫れ始めたのです。新たな異変を感じ始めてから3日目だったと思います。サルデーニャ島カリアリにある国立考古学博物館に向かう途中で、破裂しました。歩くたびに激痛が走ります。トイレに入って確かめると、血の混じった膿がパンツを汚していました。実はこの時点で、ある意味ホッとしたのでした。これで膿が出切ればおできも治るのではないかと・・・。

 それは素人考えでした。手術するまで、その部分は絶えず湿っていたのです。いわゆる痔の中でもやっかいな痔ろうでした。今となってはわかりませんが、それ以前のおできは肛門周囲腫瘍だったと思われます。ただ、症状としては、一度大きく腫れあがってどんな体勢でも死にそうだった激痛があったことを除いて、日常的には膿でジメジメしている以外は特に痛みもなく、ただ「なんか気持ちわりいなあ」と感じる程度でした。それでも、激痛があったときに病院(内科)でもらった化膿止めを一年以上塗ってもよくなる傾向はありませんでした。家の近くの専門家(つまり肛門科)に見てもらう決心をしたのは、その部分とは違う、より肛門に近い別の箇所が痛くなったからでした。

 「ウチでは手術できないね」と、より大きな病院(ちなみに社会保険中央総合病院)を紹介され、その日家に帰る途中「なぜもっと早く診てもらわなかったのだろう?」と何度も反芻し、後悔しました。基本的に痔ろうは手術しないと治らないそうです。私の診断結果は「複雑痔ろう」でした。複数個所が痔ろうになっていたのです。改めて社保中央総合病院で診てもらうと、入院→手術がトントン拍子で決まりました。最初に診てもらった病院で手術を宣告されてからそれなりに覚悟はしていましたが、やはりビビリます。痔ろうについてかなり調べましたね。やっぱり。

 なんか最初に書こうとしたことから軌道がそれてます。でもなんかだるくなってきたので切り上げます。ただいえることは「お尻に異変を感じたらまず肛門科へ」。まともすぎることですが、はっきり言って実行してる人絶対少ないですよ。こないだ知ったことですが、痔が発症してからその患者が初めて病院に訪れるまでの期間は平均7年だそうです。私は正に平均的。痔はある程度の年齢に達した人の病気だと思われがちですが、このデータから推測するに、発症に年齢は関係ないようです。実際、病院で私の隣のベットの人は小児痔ろうだったそうです。あなたのお尻、大丈夫ですか?

 次回「はぢめてのテイモウ」にご期待ください。