殺人者は誰だ?

 パルマに3日間滞在することにしたので、ついでに周りの街も観光しようと思いました。近くにはクレモナがあります。クレモナといえば、アントニオ・ストラディバリで有名です。これははずせんな〜と、日帰りで行ってくることに決めました。ちなみにクレモナのストラディバリ博物館にはストラディバリウスは展示されていません。見たかったらクレモナ市庁舎に行きましょうね。
 閑話休題。で、クレモナ行きの電車(正確には途中で乗り換えなきゃいけないんですけど)に乗っていたときのことです。空席がなかったので、デッキに立ち、ぼんやり車外の風景を見ていました。そのうち途中の停車駅に電車が入っていき、そこに下車する人たちが乗車口に3、4人集まってきます。やがて電車が止まりました。・・・ドアが開きません。乗客は顔を見合わせています。電車は動きだしました。「なんだよこれ」「ふざけんなよ」と(たぶん)口々に騒ぎだしました。その瞬間、その中の一人のおじさんがドアの上部にあるレバーをおもむろに下げました。「プシューッ」と電車は止まります。レバーは緊急停止レバーです。そして無理やりドアを開けてみんな降りていきました。数分後、何事もなく電車は再び動きだしたのでした。イタリアってスゲーな、と思った瞬間の一コマです。

 で、JR福知山線の事故の話につながるわけですが。今回の事故の背景にJRと私鉄の苛烈な競争やらJR内での、遅延に対する厳しい罰則規定やらがあるらしいのですが、結局、事故の遠因はJRの管理体制や経営体質に帰結するのでしょうか。不幸にも100人以上もの方々がお亡くなりになってしまったわけですが、もし脱線することなく、数分到着が遅れたぐらいのことに終わったとしたら、それはそれで(遅れたことに対して)ブーブー言う人がいるわけですよ。もちろんJR西日本の責任は重大です。でも一方で、ある意味では私たちが殺したと思ったりするわけですよ。