死を忘れず今日を楽しめ

 十数年前のテレビ番組に『志村けんのだいじょうぶだぁ』というものがあったことを覚えていらっしゃるでしょうか。私はその番組が好きで、月曜日の20時からだったことも覚えています。では、番組後、『ファミコン探偵倶楽部消えた後継者』ファミコンミニ ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者 前後編のCMが流されていたことを覚えていらっしゃるでしょうか。CMではゲーム画面が次々と現れるのですが、その中に死体が横たわったシーン(胸にナイフが刺さっていたかと思います)がありました。当時小学生だった私にはかなり衝撃的でした。今見ればドットの粗い、ちゃちい絵で、バイオハザードなんかとは比較にならないのですが、番組が終わるとすぐにチャンネルを変えてしまうくらい恐れていました。そのシーンがしばらく頭から離れず、そのころいちばん死に近かったであろう祖母が死んだときのことを考えたり、あるいは自分自身が死ぬことを考えたりして、一人で泣いていたこともありました。あるとき本気で本の中の登場人物になれないか(死なないから)考えたこともありました。このころからの妄想癖は治っていません。やばいですね。
 
 そういう意味で、ゲーム内の残酷なシーンが子どもの教育上よくない、という意見も理解できます。ただ、あのシーンが私にとって、この世に死というものが存在することを初めて教えてくれた教科書ではありました。